わが町散歩
高鍋町
蚊口浦地区《2》
『あんな場所、こんな人』
熟練の味生む努力家
【手製あくまきが評判
久保田ナルミさん(79)】
知る人ぞ知るあくまき名人が久保田ナルミさん。
見よう見まねで初めて作ったのが60歳になる前。今では熟練の味と評判で、高鍋町内を中心に常連客約50人から頻繁に注文が舞い込む。
都城市出身のご近所さんがこしらえるのを一度見たのがきっかけで始め、注文がある程度まとまったら作るため制作は不定期。
「自己流で、あくの分量も何もかも手加減」
と言うが、荒火で炊くことと竹の皮にこだわる。
竹皮は趣味の山歩きで集め「1年以上寝かせ、しっかり乾燥させると仕上がりがいい」。1本250円。ファンの正司豊子さん(84)=同町持田=は「練り具合もちょうどいい。とってもおいしい」と感心する。
久保田さんは川南町白髭地区出身で、1957(昭和32)年に蚊口浦に嫁いできた。30代半ばで民謡を習い始め、42歳で師範の免許を取った。教える立場になり、「鳴り物も覚えなければ生徒に申し訳ない」と三味線、太鼓の稽古を10年重ね、50歳目前で両方の指導員資格を手にした頑張り屋さん。
「何事も失敗を怖れたらできない。あくまきも最初はうまくいかなかった。今では【食べたい】と言ってもらえるのが何よりうれしい」
ー続くー。