▲今日は何しに宮崎へ!▲

宮崎県内に観光や仕事、キャンプなどで来られた方々に素直な感想を 聞いています 。【宮崎】に来られる方が参考になればうれしいです。。不定期で県内各地のことも紹介します。

ニシタチ物語

《人模様24時間》(2)
午前10時~午後2時

客層は料理人や主婦

師走に入り、ニシタチを行き交う人々にも慌ただしさが増してきた。中でも午前中から、客がせわしなく出入りする店がある。

青空商店街の南側、橘通り2丁目の野菜専門店「ヘチマや」。10時半の開店と同時に客が次々と訪れ、目当ての品を買い求める姿があった。

「大根ある?」「あるよ」「宮崎産?」「そうだよ」「小ネギで細いのは?」「そこにあるよ」
客と店側の軽妙なやりとりが続く。客は店内につるされたビニール袋をもぎ取り、所狭しと並べられた段ボ-ル箱の中から欲しい品を見つけては袋に詰め込んでいく。
「信用商売だから」と、会計は客からの報告を元に、店主の谷口昇さん(81)の妻夏美さん(77)が電卓をたたいてはじき出す。客の9割は飲食店関係者とあって、店内にとどまるのは数分程度と短い。

熱心に品を見極めている客の一人に声を掛けてみると、中央通りにある小料理屋「味処勝しん」のマスター中島久勝さん(60)だった。

「高級食材がそろい、マツタケやタケノコはよそより早く置いてあるから」と同店へ30年間通い続ける理由を話してくれた。
中島さんが帰った後も、自転車やバイクなどでひっきりなしに客が押し寄せる。そして、両手いっぱいに野菜を抱え、それぞれの持ち場へ足早に去って行った。󾠀

正午過ぎ、同店を出て中央通りを北進すると、どこからともなく歌謡曲が流れてきた。耳を澄ませて音が聞こえる方向へ歩みを進めると、喫茶・スナック「ヒットスタジオ歌謡館」の看板が目に止まる。

中をのぞくと、8人の男女がコ-ヒ-片手にカラオケを楽しんでいた。週2、3回のペースで訪れるという宮崎市佐土原町下田島、パ-ト従業員石崎信子さん(61)は「昼だと家族に気兼ねなく出掛けられるから」と笑顔。
同市中西町、主婦日高育子さん(70)は「いつも夕飯を作るまで4~5時間歌ってます」と話し、店長の小川砂男さん(68)から指導を受けて練習している「おんな花道ゆめ舞台」を披露した。
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午後1時すぎ、カラオケ客に別れを告げて外に出ると、ビデオカメラを持った男女が現れた。東京都から観光で訪れた宮坂哲二さん(34)、理江さん(31)夫婦。「どうしてもマンゴーパフェが食べたくて」。そう言って、中央通りにあるパ-ラ-店「フル-ツ大野」に入った。

店内はすでにランチを楽しむ客で満席状態。2人は窓際の席に腰掛け、運ばれてきたお目当てのパフェを笑顔で口に運んでいた。

隣の席では手芸教室帰りの女性3人組。「教室後は皆でおいしいランチを食べにくるのが何よりの楽しみ」と同市月見ケ丘1丁目、主婦鈴木淳子さん(73)はほほ笑む。
宮崎県最大の歓楽街ニシタチの日中は仕込みを控えた料理人や主婦、観光客など、夜とは違った客層をもてなしていた。