▲今日は何しに宮崎へ!▲

宮崎県内に観光や仕事、キャンプなどで来られた方々に素直な感想を 聞いています 。【宮崎】に来られる方が参考になればうれしいです。。不定期で県内各地のことも紹介します。

都農ワイナリー開業20周年(5)

【  課題】
畑の《高齢化》  生産に影!


都農ワインは、ワイン製造には向かないと言われた生食用ブドウ「キャンベル・ア-リ-」を原料に使っている点が特徴だ。

都農、川南町の尾鈴地区では60年以上前から栽培される最も古い品種の一つで、都農ワイン社長の小畑暁さん(58)は 「都農ワインの原点」と呼ぶ。

そのブドウが今、《畑の高齢化》という理由で、将来のブドウ生産に影を落としている。ブドウ農家の黒木玲二さん(64)は「都農ワインはキャンベル・ア-リ-なしには生まれなかった。このままキャンベルを失えばワインどころか、尾鈴のブドウの歴史を失うことになる」と不安を口にする。


川南町の畑には、栽培する中でも最も古い樹齢30年のブドウがあり、植え替えの時期に差し掛かっている。
しかし「資材代が高いため、畑の更新は容易ではない」と黒木さん。「高齢の農家にとっては、引退のきっかけになっている」と言い、最近は植え替えの設備投資を嫌って、高齢の農家が廃業するケ-スが相次いでいる。


JA尾鈴によると、同地区のキャンベル・ア-リ-の栽培面積は2004年の46㌶から20㌶に縮小。
生産者は64人から37人まで減少した。

高齢化や後継者不足が大きな要因で、調査では生産者の約1割が「5年後までに引退する」と回答。また、単価が高い巨峰系の高級ブドウに転換する「キャンベル離れ」も急速に進行しているという。


この状況を受け、同JAぶどう部会では栽培の負担が少ない「無袋栽培」の試験に取り組むなど、高齢化への対応に知恵を絞るが、効果は未知数。

部会長の新名正幸さん(52)は「今まで自助努力でしのいできた。だが、高齢化や後継者不足は努力だけでは乗り越えられない」と、町がブドウ育成に運用する基金の有効活用を求める。


開業20周年を迎え、飲食店を全国展開するエ-・ピ-カンパニーの経営参画によって新たなステージへと歩み出した都農ワイン。


一方で、ブドウ生産現場の土台強化という新たな課題も待ち受ける。小畑さんは「都農ワインの魅力アップこそが、これまで基礎を築いてきた先人たちへの恩返しになる。
歴史を後世に引き継ぐためにも、生産者と一緒になって課題に向き合い、困難を乗り越えていく」
と決意を新たにした。

(終わり)