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都農ワイナリー開業20周年(1)

【挑戦】 情熱込めて農家説得
「記念の年にふさわしいブドウがそろった。生産者の努力、消費者の希望に応えられるよう、秋には最高の商品を提供したい」。

今年8月、宮崎県都農町の都農ワイナリーであった本年度ワインの醸造式で、都農ワイン社長の小畑暁さん(58)=当時は工場長=の声には力がこもっていた。

都農ワインは1994年、尾鈴地区(都農、川南町)のブドウ栽培の振興を目的に、第三セクター方式で設立。
2年後にワイン販売をスタートし、今年で20周年を迎えた。

同地区は県内有数のブドウ産地で、尾鈴ブドウは贈答用として人気を得ていた。
しかしお盆を過ぎると、他県産が流通して単価が下落。この苦境を打開しようと、当時の永友敬通町長=故人=がワイナリー構想を打ち出したのがワイン製造のきっかけとなった。


小畑さんは96年2月に工場長に就任したが、最初から順風満帆だったわけではない。
ブドウ農家の黒木玲二さん(64)は「加工に回すことに抵抗を感じ、ワイナリーに粗悪品を出す人もいた」と明かす。

当時は「ワイン=加工品」と捉える農家が多く、ワイン用に低品質のブドウを出すこともあった。それでも小畑さんは「最高の品質でないと最高のワインは造れない」と説得を続けた。その熱意は農家に少しずつ伝わり、黒木さんは「みんなでワイナリーを支えようと、気持ちがまとまっていった」と振り返る。

都農ワインの最大の挑戦は、40年代から同地区で栽培されていた生食用ブドウ「キャンベル・ア-リ-」や「マスカット・ベリーA」によるワイン造りだ。

専用種に比べワインには不向きと言われたが、小畑さんは「尾鈴の原点となるブドウで世界を目指すのは、苦労というより面白さの方が大きかった」と笑う。

96年11月に「キャンベル・ア-リ-」(ロゼ)と「マスカット・ベリーA」(赤)が発売されると、一般販売用の約2万本を1カ月半で完売。小畑さんは「農家や役場など町民がみんなで造ったワイン。熱いものがこみ上げてきた」としみじみ語った。

開業20周年の都農ワインは、9月に官民ファンドの経営参画が明らかになるなど転換期を迎えている。歴史を振り返るとともに、新しいステージに向けた課題を探る。

ー続くー。