▲今日は何しに宮崎へ!▲

宮崎県内に観光や仕事、キャンプなどで来られた方々に素直な感想を 聞いています 。【宮崎】に来られる方が参考になればうれしいです。。不定期で県内各地のことも紹介します。

巨大噴火の痕跡に驚き

『宮崎カルチャー夏旅7』
ワンダー火山

本県が世界有数の火山地帯に含まれることを実感したのは、2011年の霧島連山新燃岳が本格的噴火した時だ。最近は日本各地で火山活動が活発化しているが、神戸大の試算によると、日本全土が壊滅するような巨大カルデラ噴火の確率は今後100年間で約1%という。規模の大きい噴火が何をもたらすのか、実際に確かめてみたくなった。
「タイムスケジュール」
★7:00 宮日新聞社出発
★9:00 えびのエコミュ-ジアムセンター
★12: 00 イタリア料理店
カプチーノ
★14:00 母智丘神社
【メモ】
えびのエコミュ-ジアムセンターでは、登山情報なども提供。自然観察イベントを随時開催している。9時~17時、年中無休。
電話0984(33)3002。
●火山の博物館
宮崎市から高速道で約2時間。最初の目的地は、20以上の多様な火山が折り重なり、《火山の博物館》とも称される霧島連山---を間近で観察できる「えびの高原」。抜けるような晴天。ひんやりした空気を吸い込み、早速「えびのエコミュ-ジアムセンター」へ。
新燃岳噴火を受け、3年前に火山活動をより詳しく紹介する内容に一新されたばかりだ。

案内人は、自然解説員の渡邉俊輔さん(62)。えびの高原ジオラマを参考に、最高峰・韓国岳の大きくえぐれた爆裂火口、穏やかな水平の頂が特徴だが、過去の噴火では非常に大量の溶岩を流した火山それぞれの特色を教えてもらった。

展示物の中でひときわ目を引いたのが、約7500年分(全長6.3㍍)の地層を剥ぎ取った堆積物。渡邉さんは一番新しい層を指さし、「この6㌢が新燃岳噴火で積もった分。一番厚いのは鬼界カルデラ」と教えてくれた。

鹿児島県屋久島近くの海底火山。縄文時代の約7300年前、巨大噴火を起こし、南九州は壊滅したとみられる。層の厚みは新燃岳の約11倍。その威力を考えるとぞっとしたが、「噴火もあるけど、天孫降臨の神話ができるくらい地元の人は火山と仲良くしてきた」と渡邉さん。火山と共に生きてきた先人の力強さに、何だか勇気づけられた。

●湖だった都城盆地
美しい山々に後ろ髪引かれつつ、高原町のイタリア料理店「カプチーノ」でランチ。新燃え岳噴火で大量に積もった灰に、水分を通すセロハンで包んだ肉や魚を埋めて適度に水抜きする「灰干し」で調理した鶏肉料理をいただいた。ソテーされた肉は柔らかく、うま味も濃くて思わずにんまり。使った灰は日光で干せば、再利用できるという。

そして、都城市西部の丘陵地にたたずむ母智丘神社へ。地元の歴史に詳しい坂元三郎さん(69)と一緒に訪れ、まず参拝。
お社の裏に進むと、高さ2㍍級の巨石がずらり。明治時代に神社が再建された際、火山灰が降り積もった地層から掘り起こされたという。一礼し、さらに奥にある展望台へ向かった。

到着すると、お目当ての都城盆地の大パノラマが眼前に広がった。この景色を見たかったのは、約3万年前まで、盆地のほぼ全てが湖だったから。今の都城盆地は、巨大噴火で灰が積もるなどを繰り返した結果という。「裏付ける地層も確認されているが、湖だったことを地元の人が案外知らない」と坂元さん。ちなみには盆地内には、母智丘以外にも巨石を祭る神社が多く、小高い丘にある七つの社を線で結ぶと、なんと星座の北斗七星の形になるという。

在野の研究者いわく、「怒り狂う火山へへの祈りが込められている」という説もあるとか。証明はされていないが、あってもおかしくないかもー そう思わせる噴火の巨大な足跡に、圧倒されっぱなしの旅路だった。

ーシリーズ続くー。