▲今日は何しに宮崎へ!▲

宮崎県内に観光や仕事、キャンプなどで来られた方々に素直な感想を 聞いています 。【宮崎】に来られる方が参考になればうれしいです。。不定期で県内各地のことも紹介します。

希少な味、知るほど深み

『宮崎カルチャー夏旅2』
(ウナギ)
近くの庶民的な店で、うな丼とうどんの昼食セット(約1000円)を食べるのがささやかな楽しみだった。だが数年前に閉店。あの頃からウナギの価格がどんどん上がり、ウナギを食べる回数が減った。
希少化が進むのに伴って値段が高くなるのは仕方ないが、このまま縁遠い存在になるのも寂しい。《いとおしい》ウナギとの間に生じた距離を縮めようと、関連スポットを巡る旅に出た。

「タイムスケジュール」
★8:30 宮日新聞社出発

★9:00 養鰻場の密集地帯

★12:00 国際うなぎラボ

★15:00日之影町竹細工資料館

★18:00 うなぎの比恵島

【メモ】国際うなぎラボ(美郷町)
開館は土日祝日の10時~15時。入場無料。
電話、同町教委南郷事務所
0982 (59) 1605。

日之影町竹細工資料館は
年末年始を除く8~17時。要予約。無料。平日は同町商工会
電話0982 (87) 2210、
土日祝日は同町観光案内所
電話0982 (87) 2705。

●生産量全国3位
まず車で向かったのは、宮崎市新富町に挟まれた一ツ瀬川河口近くにある養鰻場の密集地帯。
全国3位の生産量を誇る本県の養殖ウナギは、ビニ-ルハウスで覆われた養鰻池が点在するこの地域で多く育っている。

特別に許可を得て見学した新富町の中村養鰻場(中村宗生代表)では、土用の丑の日(7月30日)を前に、出荷作業がピークを迎えていた。泥臭さを抜くためにしばらく餌を抜いたウナギを池から揚げて大きさで選別。

水に打たせてさらに泥臭さを除去し、氷で冬眠状態にして発送。消費者においしく届ける工夫だ。「(養鰻の決め手となる池の水が)スイカのような甘い味になっているかどうか、口に含んで味見する。極意を語る中村代表(80)は、宮崎市の洋品店に生まれ、半世紀前に新規参入。
借金の連続だったが、粘り強く研究を重ねた。健康でおいしく育てられるようになったウナギは今、県内外の専門店などから多くの注文がある。

●生態に多くの謎
生産者の思いが詰まった県産ウナギをすぐにでも食べたい気持ちを抑え、北へ。次なる目的地「国際うなぎラボ」(美郷町)につながる県道39号は、ウナギも驚きそうなほどクネクネとした山道だ。霧も出る。マリアナ諸島沖で生まれ、数千㌔離れた日本まで旅するウナギの大変さを思うには、もってこいのルートだ。

約2時間かけて到着した国際うなぎラボは、ウナギの壮大な旅を学べる展示施設だ。水槽を泳ぐ実物や標本を見ていくと、幼生から黄ウナギ、銀ウナギへと、色や形を変えながら成長する様子が見て取れる。近年になってかなり研究は進んだが、なぜ南の海まで戻って産卵するのかなど、まだまだ多くの謎が残されているらしい。

生態への理解を深め、ウナギとの一体感がかなり強まったところで、五ケ瀬川沿いを《遡上( そじょう)》。
日之影町竹細工資料館」まで行き、伝統的漁具「うなぎぽっぽ」を見学した。

現代の名工」の竹細工職人である故・廣島一夫さんのきめ細かい編み込みが見事だ。「いっぱい捕れると、近所で集まって一緒に食べた」。昔から地元を知る資料館の案内役2人から思い出話を聞いているうちに、無性にウナギが食べたくなった。

東九州道を一目散に南下し、新富町の料理店「うなぎの比恵島」(比恵島誠代表)に駆け込んだ。「うな丼一つ。上---いや並を」。ほくほくした炭火焼きを頬張ると、ウナギが地球をダイナミックに移動する姿や、われわれ人間との付き合いの濃厚さが思い起こされ、かつて経験したことのないような深い味わいが口に広がったのだった。

ーシリーズ続くー。